2025年に行われた第35回日本数学オリンピック予選の第2問の証明を書いてみました.
問題
公式サイトより抜粋
問題.
\(abcd = 2025\) をみたす正の整数の組\((a,b,c,d)\)であって,\(ab, bc, cd, da\)がいずれも平方数であるようなものはいくつあるか.
証明
まず,以下の補題\((*)\)を証明します.ただし,正の整数\(n\)と素数\(p\)に対して,\(v_p(n)\)を\(n\)が\(p^k\)で割り切れるような最大の非負整数\(k\)とします.
\((*)\) 正の整数の組\((a,b,c,d)\)と素数\(p\)があって,\(ab, bc, cd, da\)がいずれも平方数であるとすると,\(v_p(a), v_p(b), v_p(c ), v_p(d)\)の偶奇は一致する.
[証明]
平方数\(s\)について,任意の素数\(q\)に対し\(v_q(s)\)は偶数である.また,
$$v_p(ab)=v_p(a)+v_p(b) \tag{1}$$
であるから,\(ab\)が平方数であるとするならば,\(v_p(a)\)が偶数ならば\(v_p(b)\)も偶数であるし,\(v_p(a)\)が奇数ならば\(v_p(b)\)も奇数である.
同様の議論により,\(v_p(c ), v_p(d)\)も偶奇が一致する.[証明終わり]
\(abcd=2025=3^4 \times 5^2\)であるから,求めるべき正の整数の組\((a,b,c,d)\)は,以下の式を満たすものである.
$$\begin{align}
v_3(a)+v_3(b)+v_3(c )+v_3(d) = 4 \tag{2}\\
v_5(a)+v_5(b)+v_5(c )+v_5(d) = 2 \tag{3}
\end{align}$$
また,補題\((*)\)より,
$$\begin{align}
v_3(a) \equiv v_3(b) \equiv v_3(c ) \equiv v_3(d) \pmod 2 \tag{4}\\
v_5(a) \equiv v_5(b) \equiv v_5(c ) \equiv v_5(d) \pmod 2 \tag{5}
\end{align}$$
まず,(2)式と(4)式を満たす組\((v_3(a), v_3(b), v_3(c ), v_3(d))\)は,\((4, 0, 0, 0), (2, 2, 0, 0), (1, 1, 1, 1)\)のうち1つを並べ替えたものである.
また,(3)式と(5)式を満たす組\((v_5(a), v_5(b), v_5(c ), v_5(d))\)は,\((2, 0, 0, 0)\)を並べ替えたものである.
したがって,求めるべき正の整数の組\((a,b,c,d)\)の個数は,
$$(\binom{4}{1}+\binom{4}{2}+1) \times \binom{4}{1}=44 (個)$$
感想
平方数であるというのがどのような拘束を与えるのかに気づくことが大事です.
それではまた,91年後.

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